『平安妖異伝』平岩弓枝
平岩弓枝の『平安妖異伝』&『道長の冒険 平安妖異伝』(いずれも新潮文庫)を再読してました。
先日、片付けをしていたら、ひょっこり文庫本が顔を出してきたので、つい読み返しちゃってね。
物語の主人公は藤原道長。
教科書の「平安時代の摂関政治」のところに出てくるアノ彼です。
実は、私、彼のこと、結構気に入っているんです。
教科書で習った時は、好きになれない人物だったんだけどね。
『大鏡』という平安時代に書かれた歴史物語を読むうちに、道長の魅力に惹きつけられちゃういました。
今ではお気に入りの歴史人物のひとり!
『大鏡』という物語は、道長の死後に書かれたものだし、史実を元にしているけど、フィクションの部分も多い。
でも、実際の道長って、周囲に気配りができる人間だったようだし、他人の実力を認められる人物だったようです。
それでいて、ザルだった部分もあって、彼直筆の日記が今も残されているのですが、几帳面とは言い難い書き方で記されていたようです。
この物語は、そんな彼の若かりし頃の姿を主人公にしたもの。
ただし、歴史小説というよりはファンタジーに属する作品なんだけどね。
一番近い作品をあげるなら、夢枕獏の『陰陽師』
それの道長版って感じの物語なんです。
『平安妖異伝』の方は370ページ弱の本の中に10話入っている短編集。
道長の身近で起こった不可思議な事件、その謎を解いていくという物語。
ただし、道長には晴明のような特殊能力は持ち合わせていないので、その部分を補ってくれるキャラクターがいるんです。
それが異国の血を引き、あらゆる楽器に通じているという少年・秦真比呂。
そして、10編の短編を読み進めていくうちに、真比呂への謎が深まっていくという趣向も用意されています。
最後まで読み通すと真比呂の正体も明かされます。
対して、『道長の冒険 平安妖異伝』の方は、長編仕立て。
と言っても、250ページほど文庫ですから、手軽に読み終えちゃうんですけどね。
前作で真比呂と別離した道長に、「真比呂を救って欲しい」と依頼される。
彼を救うため、道長は異界へと旅立つ、というファンタジー。
このため、こちらは前作以上に歴史的な出来事が絡んでない内容になっています。
個人的には前作の、平安時代の空気が味わえる短編集の方が好きなんですけどね。
話も一話一話切れが良くて面白かったし……。
でも、歴史に興味がない人は続編だけ読むのも手かと?
藤原道長を知らなくても十分読めるし、いっそのこと、同名異人と割り切って読んじゃうこともできるし……。
ただ、この道長像、道長贔屓の私から見ても、いい男に描きすぎって感じます。
でも、教科書から受けた道長像よりも真実に近いと思うけどね。
2年ぶりくらいに読み返したけど、面白かった!
| 固定リンク | コメント (0) | トラックバック (0)


最近のコメント