6月、藤原道長の日記と格闘すると同時に、もう一冊格闘していた本がありました。
櫻井孝昌『アニメ文化外交』(ちくま新書)
この本は友人のブログで知った本です。
格闘…と書きましたが、中身自体は難しい本ではありませんでした。
文章は平易だし、中身の2/3は著者の思い出話だったから。
その思い出話も、著者が各国の日本大使館に招かれ、その国で日本アニメ、漫画ファンの若者たちの前で講演会を行った話でしたし……。
……講演内容はよく知っている単語の羅列。
『NARUTO』『BLEACH』『ONE PIECE』『DEACE NOTE』『犬夜叉』『鈴宮ハルヒの憂鬱』『コードギアス』『鋼の錬金術師』……
各国の若者が愛してくれている日本の作品だったしね。
第一章では、ミャンマー、サウジアラビア、チェコ、イタリアでの講演会の話。
第二章では、スペインで行われた『サロン・デル・マンガ』というイベントの話から始まり、ベトナム、カンボジア、ラオス、ドイツ、そして、フランスで行われた『ジャパン・エキスポ』というイベントの話まで載ってました。
そこで著者が会い、話をした若者たちの言葉を読む度に、私は感動と同時に切なさを感じ、なかなか先へと読み進められずにいました。
それは彼らと同世代の日本のアニメ・漫画ファンが忘れてしまったもの。
もしかしたら、一度も感じたことがないかもしれない状態。
咽を乾かせ日本の作品待ち望んでいる姿、それに心を撃たれてしまったんです。
この純粋さは日本産のアニメや漫画は楽しめて当たり前の状況にある私には、過去のものになっていました。
それにしても……。
純粋と書きつつも、苦笑いしてしまった会話が載っていたことも記しておきます。
ミャンマーでの講演会の際に著者は女の子から、こんな質問を受けたそうです。
「“やおい”はアニメにならないんですか?」
……“やおい”って言葉を知らない人はスルーしてくださいね。
けど、既にミャンマーには、“やおい”って言葉、輸入してるお嬢さんがいるようです。
それから、サウジアラビアのお嬢さんたち。
彼女たちは講演会は男子と同じ部屋で話を聞くことができなかったそうです。
……戒律が厳しい国だからね。
講演は別室でモニターを使って視聴してたらしいんですが、著者が『鋼の錬金術師』とタイトルを挙げただけで、歓声が別室から響いてきたそうです。
ハガレンに熱狂する女の子たち。
こちらはまだ純粋レベルだったのかな〜?
ちょっとアヤシイ…かな…。
この本の第三章、第四章は、問題提起となっていました。
日本の作品を自覚ないまま不法な形で楽しんでいる状態をどうすべきか?
また、それ以前に日本の作品を楽しむことが出来ない国の子供たち。
この子たちに『ドラえもん』見せてあげるには、どうすれば良いのか。
そして、アニメを作りたいと思っているのに機材のないラオスの若者たち。
彼らにどんな手を差しのべたら良いのか……。
課題はたくさんあるようです。
日本以外の土地で、日本の作品を楽しんでくれている人たちのために、何ができるか、何をすれば良いのか、深く考えさせられた一冊でした。
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