ここ数日、漫画におけるプロットについて考え込んでいました。
と言っても夕食後にボーッと考えていただけですけど……。
でも、それを見かねたのか、夫が一冊の本を取り出してきてくれました。
昭和44年に虫プロ商事から発行された手塚治虫著『まんが専科初級編』
この本の第8章『ストーリーまんがはこうしてできるの巻』にプロットという言葉がありました。
この第8章は、手塚先生にインタビューする形で、手塚先生の漫画の描き方が紹介されています。
その中の『長編のまんがのかき方は?』という問いに対して、物語の案のたて方が載ってました。
その一、テーマ
その二、プロット(構想)
その三、ストーリーづくり
1シノプシス
2箱がき
3シナリオ(台本)
4キャラクター
5考証
この様な手順で手塚先生はアイディアを出していると語っていました。
で、その項を読んでいるうちに、今更なことに気づいたんです。
手塚先生の言っているプロットと、自分が考えていたプロットは、違っていたってことに……。
手塚先生がその本で語られていた言葉を以下に引用させていただきます。
(ただし、一部分を抜粋した形式で載せております)
【テーマ】
物語の中で何を言いたいかということ。
たとえば、「力を合わせて勝つ」
【プロット】
テーマをどういうまんがにしたてようか考える。
力を合わせて勝つテーマを書く場合、学園ものにすると、クラスのみんなが力を合わせて番長を倒す。
または、弱いこどもたちが何かひとつの大きなものをつくりあげるというスジにもなる。
また、SFものにすれば、宇宙の大怪獣があらわれる。
それを地球すべての科学力でやっつけるという話にもなる。
【シノプシス】
何がどうしてどうなったかというあらすじである。
【箱がき】
箱がきというのはあらすじをもう少しふくらませたものだ。
事件のどのへんがヤマで、どのへんがイキヌキのの部分かをわけてみる。
これをつくらないでかいていくと、頭でっかちのスジになってしまったり、おしまいのほうが全然かけなかったりする。
【脚本】
箱がきをもっとふくらませて、セリフをかいたり、人間のだしいれから、その場所の光景までていねいにかいておく。
【キャラクター】
この項は数ページに渡って語られているので、略します。
【考証】
これは時代考証などの意味。
参考資料集めやその資料の整理について語られてました。
さて、今回、私が漫画のプロットについて考え込んでいた理由。
それは、最近、漫画編集者が絵コンテの前にプロットを欲しがるという話を友人から聞いたからです。
その話を聞いた時に、私が思い浮かべたプロットは、手塚先生のおっしゃったもので言えば、【箱がき】の段階でした。
でも、この本を読んでいるうちに思ったんです。
中には箱がきではなく、シノプシスの意味で言っている人もいたんじゃないかと?
「誰が、どこで、いつ、何を、どうした」
それが書いてあるもの。
つまり、「企画書を出してくれ」という代わりに、作家に「プロットを出せ」って言っている場合もあったんじゃないかと。
第一、箱がきを受け取っても、それを読んで判断するのには時間がかかります。
絵コンテなら、ラフ絵が入っている分、絵を想像しなくとも読めますが、箱がきの場合は、その作家が描きそうな絵まで想像しながら読むため、時間がかかるんです。
それだったら、絵コンテを出してもらった方が早いもの。
もっとも、100ページを超えるような作品、読み切り、前後編、連載作品の場合は、絵コンテで全て見せてもらう訳にはいかないから、プロットで充分ですけどね。
でも、言葉って難しいですね。
作家さんからいただいた文章を読んでいる時、こういう絵が来るんだろうなって想像していても、全然違う絵が入っていることは、ままあります。
それと同じように、プロットをくださいと言われた時に、想像するプロットも、人それぞれ違うようです。
手塚先生が昭和44年に漫画を描きたいと思っている人たち向けて発信してくれた言葉。
40年経った今、改めて色々なことを教えていただきました。
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