『深川黄表紙掛取り帳』山本一力
山本一力の『深川黄表紙掛取り帳』(講談社文庫)読了。
……本当は、一週間前に読み終えていたんだけどね……。
今の読後の気分は、コレ、ですよ。
「なんて気持ちのいい連中なんじゃ」
『カリ城』のラストシーンにあったセリフ、アレ、そのものです。
舞台は、江戸時代の元禄期。
戦国時代から百年程経ち、戦さの恐怖もなく、経済的にも安定しつつある時。
それでいて、政治は五代将軍綱吉の時代で、かの悪法令“生類憐みの令”で締め付けられている。
そんな時代に生きてる主人公たち四人は、金が絡んだ厄介ごとを解決する裏家業を副業としているメンバー。
作品は短編形式。
けど、五話の短編は連鎖していて、全部読み終えると一枚の絵が描き上がっている感じ。
さて、この話の魅力。
裏家業っぽさはあるんだけど、解決の仕方が綺麗だったんですよ。
誰ひとり損のない形で事を納める工夫をしている……、そこが素敵でした。
第一話では、雑穀を扱っている商人が、手違いで大豆を山のように仕入れてしまったという話。
その大豆を何とかして売りさばきたいという依頼に対して、四人は知恵を絞り、見事な快活案を考え、それを実行するんです。
ただ、解決後に、さらに一騒動起こるのですが、その事態収拾でも色々な人たちにお金が回るような形で事を納めるんです。
第二話以降に現れる小悪党、他人のアイディアを奪い、自分だけが富を独占しようとする男。
彼に対して、主人公達がお灸を据えるんですが、そのお灸も、一見、貧乏くじを引かせたように見えるものの、本人が努力すれば富くじに化けるような形に納めている。
また、ちょっと嫌な感じのする人物、…歴史上有名な人物なんですが…、その彼も嫌な顔と良い顔、両面が見られる話が載っていました。
全てがそんな感じ。
読んでいて、どんどん爽やかな気分になっていくんです。
この本、ブクオフで見かけた時、図書館で借りようか、ここで買っちゃおうか悩んだんですよ。
でも、買う方を選んで正解でした。
元気のない時に、この本を読んだら、いつでも元気を分けてもらえそう。
私にとっては、そんな本になってくれそうです。
山本一力はまだ二冊しか読み終えてませんが、二冊とも良い本でした。
さて、次はどの本を選ぼうか、ただ今、思案中です。
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