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写真の模写に関する問題

今月の頭に、ある漫画家さんの愛読者の方から、とある漫画家さんが自らの軽率な行為により、トラブルになっていることを知らされました。
自らの軽率な行為、それは雑誌に載っていた写真を模写していたということでした。

このことに関して、その漫画家さん本人がブログにて事実を認め、深く反省していらっしゃいます。
また、私にはこのことに胸を痛めている愛読者のお友達もいます。
だから、この作家さんに対して、何か言いたいという訳ではありません。
ただ、この機会に自分なりの考えをまとめておきたくなり、日記という形で書くことにしました。

編集者にとって、怖いトラブル。

そのひとつが言葉によるトラブルです。
これは、差別用語などを含む言葉を発表させてしまった時に起こります。
これに関しては、発表させてしまった、編集サイドにも責任があります。
だからこそ、セリフの書き換えをお願いするんです。
この言葉に関する制約は、各出版社ごとに違っています。
だから、A社ではOKだったのに、B社では書き換えを命ぜられるということもあります。
うるさいと思われるでしょうが、このトラブルは実際に起こってしまうと、大変な事態になってしまいます。
だから、書き換えには応じて欲しいなって思ってます。

もうひとつのトラブル。
それが今回のような他者(多くの場合は写真家)の著作権侵害をしてしまったというトラブルです。
これに関しては、正直、出版社は作家をかばいきれないんです。
と言うのも、事前に注意や忠告をすることができても、絵を描いている最中、ずっとその人の側に編集が張り付いていられないからです。
つまり、作家を信頼するしかありません。
だから、こういうトラブルを起こしてしまった時、編集が駆け回ってくれたとしたら、これは作家さんに対する善意で動いてます。
どちらかと言えば、編集者自身も作家に裏切られたような寂しさすら感じていると思います。

ただ、この写真の模写に関してですが、本当のところ、難しい問題だと思っています。
絵を描くにあたって、他者の撮影した写真を資料にすることって、当たり前の部分があるんじゃないでしょうか?
だけど、ほんの少しだけ、考慮して欲しいなって思うんです。

昔、私が携わっていた漫画雑誌の表紙では、モデルを撮影した写真を使っていました。
この場合、最低3時間以上、スタジオを借り、カメラマン、モデル、メイク、スタイリストが揃って、初めて写真が撮れていました。
20数年前の話になりますが、1枚の写真のために30万以上のお金がかかっていたように記憶しています。
それ程の費用をかけたものを安易に使われる側の気持ちを考えて欲しいんです。

また、野外で撮った写真にしても、その写真を撮るまでにカメラマンの方がどれほどの労苦を費やしたか考えてみたら、やはり安易には扱えないと思うんです。
そして、小物などを撮影した写真集。
こういうものも、カメラマン側が企画して撮影した場合は、その撮影許可を得るために影で努力していたはずです。
反対に所有者側が企画したとしても、そこまでには様々な労苦があったはずです。

けど、私的には他者の写真を参考にするなとは言い切る気はありません。
だって、たった一枚の写真から、物語が生まれ出ることもあるって思うからです。
反対に写真家の方だって、漫画やイラストなどから、写真の構想のヒントを得ることだってあるんじゃないでしょうか?
相互に刺激しあうことで、素晴らしい作品が生まれる。
だからこそ、安易に他者の作品をトレースせずに、その作品を見て、自分なりのイメージを広げていって欲しいと思うのです。

また、基本的に自分が撮った写真だったらトレースしてもOKと言われています。
これに関しても、実は私の中には疑問があるんです。
例えば、建物の場合、所有者に権利があるはずです。
また、その建物を設計した人にも権利があるのではないでしょうか?

だから、自分が撮影した写真であっても、そのまま、トレースしてしまうというのは、今の段階ではOK。
でも、それにだけ頼ってしまうのは問題があるのではないかって思うんです。
だけど、きちんと撮影許可を得て使う分には問題はないと思っています。

そして、今回のトラブルに関してですが、上記では編集サイドには防ぎようがないと書きましたが、この作家さんに関してだけは出版社の方にも問題があったのではないかと考えています。
と言うのは、この出版社の前身にあたる会社で15年ほど前に出された単行本が我が家にあるからです。
その単行本には、おそらく海外で購入してきたらしき外国の地図のコピーと、湾岸戦争時に撮影された写真のコピーが貼り付けた作品が収録されています。
特に湾岸戦争の写真に関しては、作者のコメント文に、はっきりとそう記されていました。

これは、両方とも大きな著作権侵害を起こしています。
写真に関しては、ここまでに書いてきてますからご理解いただけていると思いますが、地図というのも厳しく扱われているものなんです。
ただし、地図に関しては、トレースを元に描き起こした場合は、全く同じように描けないってこともあるため、模写は大丈夫なんですよ。コピーを貼ることだけは絶対しちゃダメです。

この単行本ですが、我が家にあるのは再版本です。
つまり、発行に携わった編集者は、これらが著作権を侵していることに気づいていなかったってことじゃないでしょうか?
そして、この作品ですが、単行本を発行した会社とは違う出版社で掲載されたものでした。
つまり、初出を載せた出版社の編集も、この手の知識を持っていなかったということではないでしょうか?

だから、今回も編集者がその作家にトレースをしてはいけないと教えていなかったのかもしれない、そう思ってしまったんです。
教えられなくても、それくらい、気がつけと言う方もいらっしゃると思います。
でも、教えいなかったとしたら、編集者にも罪があると私は考えています。

ですから、この日記を読まれた方だけでも、伝えたかったんです。
他者の創作物を資料に使う時は、注意して欲しい。
イメージを膨らませる材料にとどめて欲しい。
最終的にトラブルが起こってしまった時、傷つくのは作家さん本人。
そして、ファンの人たちの気持ちです。

このトラブルですが、たぶん大きな賠償金が動き、連載作品が一時的に打ち切りになると思われます。
ただ、作品の続きを心待ちにしていた愛読者たちのため、いつか、続きが掲載されるようになることを祈っています。
同時に、他の作家さん達も、これは警鐘だと感じて欲しいと思っています。

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